クルド人難民のイラク送還に抗議−イギリス

【2005年8月30日】

イギリス内務省は、亡命申請が拒否されたイラククルド人20人を、難民センターからイラク北部へ強制送還する計画を発表したが、これに対して、イギリスにいる難民グループや支援機関、司法関係者は懸念を示している。内務省は、8月28日から計画を実施するとしている。

国連高等難民弁務官事務所では、イラクに安全な場所はないと警告していた。高等難民弁務官事務所のケスラー報道官は、イラク北部では誘拐やその他の治安上の問題がいまだ恒常化していると語った。しかし「イギリス内務省は28日以降、イラク軍の飛行機で男性を送り返す」との報道がされている。

これまでイラクへの帰還は自発的に行われてきた。しかしタイムズ紙は、亡命申請が却下された100人が逮捕され、留置されていると報じている。

26日にはイギリス各地でデモが行われ、内務省に対してもデモが計画された。

ケスラー報道官は「難民が帰還することは彼らがリスクを受け入れることに等しい。しかし難民をいま排除する緊急の理由はない。イラクは騒乱状態にある」と語った。

また27日のBBCによれば、イギリス最高裁のコリンズ判事は、滞在許可条件が法的に明らかにされるまで送還を控えるよう要望した。しかしコリンズ判事の発言に対して内務省報道官は「内務省は難民申請が下りなかった者の強制送還を始める」「国際的な保護が必要でないものはイギリスを退去すべきであるということは、難民政策の統一性にとって重要である」とコメントした。

ジンバブエからの難民申請者について、保守系新聞デイリー・メイルが滞在許可を求める記事を掲載した後に、10月まで滞在を許可するなど、内務省はこれまでに、反対運動によって同種の決定を撤回したことがある。

英語版ウィキニュースの翻訳を含みます。

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