アルバニア系政党間の対立による、マケドニア共和国の議会選挙中の暴力で死者1名・負傷者多数

【2008年6月6日】

マケドニア共和国の位置
マケドニア共和国の国旗

マケドニア共和国で2008年6月1日に行われた議会選挙に関連した暴力事件が多数発生している。事件の背景には、マケドニア共和国の人口の約4分の1を占めるアルバニア系住民を主な支持層とする、2つのアルバニア系政党間での対立があると見られる。

マケドニア共和国ではマケドニア系の保守政党である「内部マケドニア革命組織・マケドニア国家統一民主党」(VMRO-DPMNE) と連立与党を組んでいた「アルバニア人民主党」(DPA) と、かつて連立を組んでいた別のアルバニア系政党で、かつてのテロ組織「民族解放軍」(NLA) から改組して作られた「民主統合連合」(DUI/BDI) との間で2006年より激しい対立が続いている。

クロアチアのJavnoの記事によれば、マケドニアの首都スコピエ近郊の町アラチノヴォ (Aračinovo) に銃で武装した数人が押し入り、銃撃戦となった。侵入者の1人は反撃を受け死亡、2人は負傷した。警察はDUIの支持者による犯行と推定している。DUIのシェフィク・ドゥラク (Shefik Duraku) はこれに関して反論し、「自動車で移動しているところを警察に止められ銃撃された。我々は自動車を降りて逃げた」と主張している。

セルビアのB92によると、このほかにもアルバニア系住民が多数を占める地区の中心都市テトヴォ(Tetovo、アルバニア語ではテトヴァ)では投票終了後に武装した集団が押し入る事件が発生するなど、これまでの選挙に関連した暴力事件が相次いでいる。AFPによると襲撃のあった付近の投票所では投票が中止された。毎日新聞によると投票は2週間以内に再開される。

DUIの指導者で、かつての武装組織を率いたアリ・アフメティ (Ali Ahmeti) は、「警察とDPAによるDUIに対する挑発、暴力、心理的テロリズム」を非難している。朝日新聞などではAP電を元にアルバニアのEU加盟交渉に打撃となる可能性を指摘している。

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