「崖の上のポニョ」舞台・鞆の浦の埋め立て計画に差し止め判決 - 広島地裁
【2009年10月4日】
朝日新聞・日本経済新聞・時事通信によると、宮崎駿監督の映画「崖の上のポニョ」の舞台ともされる広島県福山市の景勝地「鞆(とも)の浦」で県と市が進めている埋め立て・架橋計画に対し、反対派の地元住民が県を相手取って知事の埋め立て免許交付差し止めを求めた訴訟の判決が10月1日(UTC+9)、広島地裁であり、能勢顕男裁判長は原告住民の訴えを認め、知事に免許の差し止めを命じた[1][2][3]。
歴史的景観の保護を理由に、大型公共事業の差し止めが命じられるのは初めてであり、開発と景観保護を巡る議論にも大きな影響をもたらすとみられる[1][2][3]。
能勢裁判長は判決理由として、鞆の浦の景観を「国民の財産ともいうべき公益」であると指摘し、法的保護の対象になるとした[1]。そのうえで、埋め立て事業について「景観保全を犠牲にしてまでの必要性があるかどうか大きな疑問が残る」とし[1][3]、事業自体も調査・検討が不十分であり、免許交付は「行政の裁量権を超えている」と認めた[2][3]。
原告住民は、「良好な景観を享受する利益がある」と主張。埋め立て事業による景観破壊は利益侵害となるとしていた[2]。
埋め立て免許を巡っては、昨年6月に広島県知事が免許交付のために必要とされる国土交通省認可を申請したが、金子一義・前国土交通大臣が慎重な姿勢を示し、手続きが事実上停止状態となっている[1]。