「フランス語は国際語失格」発言で石原都知事を提訴

【2005年7月17日】

石原慎太郎(右)


13日東京都内にある語学学校のマリック・ベルカンヌ校長(46)らフランス人と日本人のフランス語研究者ら合計21人が、石原慎太郎東京都知事の「フランス語は数を勘定できない言葉」という発言によって「フランス語に携わる人々の名誉を傷つけた」として、知事に謝罪広告と原告1人につき50万円の損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こした。

石原知事が2004年10月19日、東京都庁で開かれた首都大学東京設立支援組織「the Tokyo U-club」の設立総会の祝辞の中で、「フランス語は数を勘定できない言葉だから国際語として失格しているのも、むべなるかなという気がする。そういうものにしがみついている手合いが反対のための反対をしている。笑止千万だ。」と発言していることに対するもの。

2003年8月1日に、石原知事は東京首都大学の構想を発表。それまで準備が進められていた東京都立大学の組織改変の枠組みを継承せず、また文学系学科の大幅な定員削減と教員の別組織への移転を含むこの構想に、人文学部各学科は反発し、反対運動を展開していた。仏文学科はとくに活発な運動をみせ、2003年9月25日人文学科教授会が抗議声明を決議した際にも、同日仏文専攻教員は緊急アピールを学科関係者へ送付していた。また2004年には合田正人仏文学科教授が抗議のため辞職していた。

ベルカンヌ校長は「発言を聞いた時はショックだった。フランス語は当然、数を数えられるし国際機関でも公用語として使われている」「日本に来て23年になるが、この間教えてきたものが否定されて悲しい」と述べた。また、2月に謝罪を求め送った質問状にはまだ返事がないという。

15日、石原都知事は会見で、「言語が、不便だからという理由で忘れられていくというのは非常に残念な気がする。そういうことで申し上げた」と発言の趣旨を説明した。また、「91」を「4×20+11」とするフランス語特有の数え方を例にして「かつて外交官の公用語として幅をきかせたが、科学技術の討論をしたりするときに非常にやっかいなんで、だんだん外れていった」と述べた。また、「フランス語のやっかいさは阻害要因になっている。東京都が設立した首都大学東京で、フランス語の受講者はいなかった」「批判が当たっているか当たっていないか真摯に考えるべきではないか」「フランス文化は愛着もあるし尊敬もしている。文句があるならフランス政府に言えばいい。政府がどういう対応をするかは分からないが。」と反論した。

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