石川県珠洲市で地上アナログ先行完全終了 混乱なし

【2010年7月25日】 朝日新聞によると、石川県珠洲市(すずし)とその周辺地区で7月24日正午(UTC+9)を持って全国に1年先駆ける形で地上波アナログ放送が終了し、地上デジタルテレビ放送へ完全移行した。この日珠洲市内では記念式が行われ、地元の自治体や放送局関係者がカウントダウンをして、アナログ放送の画面が砂嵐になると拍手が起きた。

朝日によると、総務省は2009年4月、地デジの完全移行へ向けたモデル地区として珠洲市と能登町の一部地域を指定。1億8000万円以上の投資により支援を進めてきた。対象となる8800世帯のうちの希望世帯には無料でチューナーの貸し出しを行ったり、自治体の説明会を実施するなどの体制をとった。そして同年7月と今年1月にアナログ放送停止の「リハーサル」も行った。産経新聞によると、この日「デジザポ珠洲」への問い合わせは午後2時の時点で4件だけで大きな混乱が無く、これらの綿密な準備が効果を表した格好だ。

しかし、これを全国規模で周知・支援活動をするのには課題があると朝日は伝えている。総務省が行う地デジチューナーの無償配布は生活保護を受けている家庭世帯だけ。各家庭ごとの訪問も「都市部で家電量販店にやってもらうわけに行かない」という。特に、地デジへの対応の遅い南関東ではUHF受信アンテナが無いところも多い。また都市部では集合住宅で共同受信アンテナの付け替えやビル陰による受信障害が発生するなどの問題も多いという。総務省の「地デジ最終年総合対策」によると、2011年7月に予定される地デジ完全移行の前後には20万件から60万件もの問い合わせが殺到するとしており、コールセンターの職員増強も図ったり、臨時相談所も1000箇所程度設けることも検討している。

また毎日新聞によると、総務省調べでこの3月現在の世帯の受信普及率は83.8%。全国水準こそ総務省の計画数値を超えているものの、先述の共同受信世帯への対応の遅れや低所得者・高齢者への対応の遅れも目立っているという。総務省では地デジ対策への早期対応や地デジコールセンターの相談利用を呼びかけている。

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