ネパール国王が行政権返還、首相選出へ

【2006年4月22日】 直接統治を続けているギャネンドラ国王に対する大規模なデモがあったネパールで、21日に国王がテレビ演説し、行政権の返還を発表した。

国王は、ネパール憲法35条に基づいて行政権を国民に返すとした上で、速やかに選挙を実施すべきだと述べた。また、「ネパール会議派」など主要政党による七党同盟に対し、次期首相を推薦するよう呼びかけた。

しかし、毎日新聞や産経新聞によると、国王は選挙や国会再開の具体的な日程を明言しておらず、自身が政治に関与する体制を維持すると同時に、七党同盟に接近してきているネパール共産党毛沢東主義派(毛派)と七党同盟を引き離そうという狙いがあるものとの見方が出ている。七党同盟は毛派との合意文書において、国王の声明の内容はまだ不十分だとしており、権力の即時返還や国会・制憲議会の設置などを要求している。またNepalnewsによると、各党がそれぞれ他の党と会合を開き戦略を話し合うなどの動きもあるほか、一部では、国王が更なる要求を認めなければデモを激化させるとの決定もあった。

Reutersによれば、国王の声明があった翌日の22日にも、カトマンズでは、数千人がタイヤを燃やしたり、枝や石を投げるなどのデモを行った。

毎日新聞やReutersによると、この国王の声明に対し、特使を派遣したインド欧州連合 (EU)、アメリカ合衆国などは歓迎の意を表し、各政党に速やかな活動の開始を促した。ネパール情勢を重く見て、専門家の派遣や政府によるデモ弾圧の批判を行ってきた国際連合(国連)も、国王の声明を歓迎している。

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