「ネアンデルタール人のゲノム断片の解読と解析に成功」の版間の差分

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東 遥 (会話 | 投稿記録)
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ドイツとアメリカ合衆国の研究グループによって、[[w:ネアンデルタール人|ネアンデルタール人]] ''Homo neanderthalensis'' の[[w:ゲノム|ゲノム]]が解読された。両グループの研究結果は11月16日の英ネイチャー誌と11月17日の米サイエンス誌に報告された。今回の解読は全遺伝情報を網羅したものではないが、化石標本からのゲノム解析が可能であることを示した例となる。
 
ネアンデルタール人 ''H. neanderthalensis'' は[[w:ヒト|現生人]] ''H. sapiens'' と同じ ''Homo'' 属に属する。ネアンデルタール人は約20万年前に出現し、約3万年前ごろに絶滅した種であり、現生人とは同時期に生息地域が重なっていた。両種は進化的に非常に近い関係にあり、混血が起きていた可能性が考えられていたが、今回の報告によれば両種の交雑はおきていなかったという。両種のゲノムの相同性は99.5%であり、今回の結果とこれまでの知見を総合して考えると、両種が分岐したのは37万年以上前であることが示された。これまでの化石研究では20万年前と考えられていたが、それよりもかなり以前であることがわかった。今後の解析により、ヒトをヒトらしめる遺伝的な特徴が明らかにされることが期待される。
 
2つのグループが解読に用いた[[w:デオキシリボ核酸|DNA]]は3万8000年前、クロアチアの洞窟に住んでいたの一人の男性の骨から採取された同一のもの。それぞれに異なる手法を用いて解読を行った。ネイチャー誌の解説によれば、化石からのゲノム解析はいくつもの困難があるという。DNAは比較的安定した物質ではあるが、非常に古いため断片化や欠損が起きている。また現存のものとは異なり、サンプルの量が限られており、解読にはDNAの増幅を行う必要がある。全体をまんべんなく増幅し、しかも後から混入した生物のDNAを排除しなくてはならない。今回の研究グループはそれぞれ技術に工夫をすることで、化石からのゲノム解読に成功した。