北朝鮮の最高指導者・金正日氏逝去 列車内で

【2011年12月19日】

在りし日の金正日氏
日本にある北朝鮮人学校に掲揚された金日成・正日両氏の肖像画(東京北朝鮮人中・高級学校)

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)金正日(キム・ジョンイル)労働党・総書記が12月17日午前8時半(UTC+9)に死去したと、同国の朝鮮中央テレビ局が12月19日発表した。69歳。中日新聞によると、朝鮮中央通信社は、「正日氏は現地視察中に、精神・肉体の疲労により心筋梗塞がおき、心臓ショックにより列車内で亡くなった」と報じた。

毎日新聞によると、朝鮮中央放送局・朝鮮中央テレビ局・平壌(ピョンヤン)放送局の国営放送機関諸団体は、12月19日正午(日本時間に同じ)、特別番組を行い「正日氏は心臓や脳血管の疾病で長きに渡り治療を続けていた」という。葬儀は12月28日に平壌市で営まれるが、外国弔問団は基本的に受け入れない。またその国葬の葬儀委員長に正日氏の三男・正恩(ジョンウン)氏が名簿の筆頭に上がっているという。北朝鮮はこの正恩氏による国家体制へ移行することになるものの、その後継体制の行方は不透明であり、拉致問題や大韓民国との対立などの朝鮮半島をめぐる諸問題はいっそう不透明さを増すのではないかと報じている。

中日によると、正日氏は1994年没した北朝鮮建国の父・金日成(キム・イルソン)主席の長男で、1994年の日成氏死去後、1997年総書記に就任、1998年に国防委員長を北朝鮮最高ポスト(2代目最高指導者)と位置づけられた。しかし、2008年に脳卒中に倒れ、2009年に正恩氏への後継継承準備に着手し、2010年9月に行われた労働党の代表会議で正恩氏を次期後継者とすることが承認された。正日氏は2009年以後、脳卒中の後遺症から立ち直り、精力的な活動を展開するも、北朝鮮の報道機関の映像などでもやつれた表情が目立ち、腎不全を患っているのではないかという報道もあった。

今回の正日氏死去を受け、大韓民国(韓国)大統領府に当たる青瓦台(せいがだい)は、国家安全保障会議で韓国の全ての軍に対し、「非常体制を取るように」命令を出した。

在日朝鮮人「来る時が来た」 編集

毎日の別記事によると、在日朝鮮人もこの正日氏死去に衝撃を受けており、在日同胞の生活を考える会の金奎一(キム・ギュイル)代表(73)はため息をつきながら「来るべき時がきた」とコメントし、「日成氏の死去発表に似ている。着々と息子たちを後継者にする準備をしていたのは、正日氏の健康を考えていたのだろう」と話している。また「3代にわたって世襲が続くようであれば、在日朝鮮人の心は北朝鮮からますます離れる。その時に在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)はどういう動きをとるのか。在日朝鮮人社会に混乱が起きなければいいのだが…」と同紙のインタビューに答えている。

また、その朝鮮総連の東京本部(千代田区)は、職員とみられる男性が報道陣の問いかけに「うるさい」といらだちながら答えるにとどまって足早に去ったほか、総連のある幹部は「(正日氏死去は)テレビで初めて知った。現在はとても対応できない」と話す。その一方在日本大韓民国民団(民団)もある職員が「驚いているの一言。北が無用な混乱を起こさないで、朝鮮半島全体が動揺しないことを望む」と述べた。

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